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本の紹介ペー
                                     NO1
おもに軽くバッグに入れて電車のなかで読むようなサイズの本です。“電車文庫”におすすめの書籍がありましたらご推薦ください。


●バロックの光と闇
 
 個人的にたとえばルネサンスには憧れ、バロックへは多少の抵抗感…などといった感覚のその理由が整理されるような本で、今さらながらこの著者の論理は明快である。“新しいバロック”といわれる現代はどこへ向かうのでしょう。
 ちなみに本書のテキストは小学館の『バッハ全集』全15巻に「バロックの美術」として掲載されたもの。バッハ全集はCD156枚に全作品完全収録、全部で税込み39万円余りという優れもの(だそうです)。
・高階秀爾著
・小学館
・2001年12月発行
・3000円(税別)
(10.29up)


青い絵具の匂い 
  松本竣介と私
 評論でも伝記でもなく、同じ画家として後輩として松本竣介と交わった記録がじつに淡々としていて好感が持てた。著者の言うように竣介は、荒廃した時代に灯された「清澄な知性」だったに違いない。ますます魅惑の底に惹き込まれそう。
 それにしても、同じ時代を生きた者だから書けるこのような書物はもっともっとたくさんあっていい。(あるのかも知れませんが…) 
・中野淳著
・中公文庫
・1999年3月発行
・686円(税別)

(10.29up)

●絵画を読む
 イコノロジー入門
  
 カラヴァッジョ「果物籠」、プサン「われアルカディアにもあり」、デューラー「メレンコリアT」など12点の作品を中心とした図像解釈学。美術ファンにとって著者が“中級用”と位置付ける相応の読み応えがある。
 個々の解釈も面白いが、全般に渡って「優れた作品は解釈ができる」「一人の人間にとって真実なものは、普遍性をもっている」という著者の姿勢が一貫していて頼もしかった。さすが。
・若桑みどり著
・日本放送出版協会
・1993年3月発行
・1070円(税別)
(9.30up)


全面自供!赤瀬川原平
  500ページ近い長編でなるほど全面自供。「ハイレッド・センター」「千円冊裁判」芥川賞受賞、「老人力」らの経緯がつぶさに分かる。興味深かったのは、著者にとって美術品の制作も文章創作もまったく境目がないこと。制作したり描いたり書いたり、これからさらに、どう展開するのでしょうか。 
・赤瀬川原平著
・晶文社
・2001年7月発行
・2840円(税別))
(9.30up)

●広重「東海道五十三次」の秘密
 
  ー新発見、その元絵は司馬江漢だった
 広重は東海道を旅してはいない、司馬江漢の“元絵”を再構成したのだ、という本書の主張には反論があり、真相は専門家に委ねたいところ。結局、改めて広重は凄い!という逆説的感想をもった。(著者は広重を軽んじているわけではありません。)
 平易で小説感覚で読める本。ただ、下記の『謎解き洛中洛外図』の忍耐強い緻密な検証とは、よくも悪くも対照的な論法に思われ、その余韻が残った。
・對中如雲著
・祥伝社
・1995年11月発行
・1000円(税込み)
(8.29up)


謎解き 洛中洛外図
   「上杉本洛中洛外図」について。誰がいつ発注し誰が描いたか、信長が上杉謙信に贈ったという従来の説は正しいか、等の本書の「結論」については、特別な感慨を抱けるほど知識の土台がない。しかしながら、歴史と美術史を行き来する推論はたんへん興味深かった。
 率直なところ、従来の入り組んだ諸説を熟慮しながら出した著者自身の論はそう多くないように感じた。が、それはむしろ研究プロセスの厳密性と著者の誠意を物語っていると言えそう。テーマとは別に、「研究史と自分の位置付け」といった専門家の世界を覗いた気がするのも貴重だった。 
・黒田日出男著
・岩波新書
・1996年2月発行
・680円(税込み)

(8.29up)

●日本美術を見る眼
 
 言うまでもなく日本における西洋美術研究の第一人者による日本美術論。当初から外国の人に読まれることを想定して書かれた部分が多いとのこと。しかし、その故の違和感が全くないのは、著者自身が自分の中に流れる日本の美を再発見する作業が自然体であり、読む側にも説得調でなく伝わってくるためのよう…。
・高階秀爾著
・岩波書店
・1991年11月発行
・2600円(税込み)
(7.29up)


求道の画家
  松本竣介
  一義的なものではないが、まずは松本竣介に関する文献が余すところなく網羅されている点が秀逸。繰り返し多くの人を惹きつけてきた竣介の、没後の足跡も一望できる。画家としてはもちろんのこと、エディターとして「思索するおとなの絵本」を作りたかった竣介の奮闘も生々しい。竣介の周辺から、当時は無名だったが、幾多の画家や文章家が生れたことも、余韻が大きい。
再版時に、禎子夫人等の指摘にしたがって、すでに内容修正が行われている点も、好印象だった。 
・宇佐美承著
・中公新書
・1992年12月発行
・680円(税込み)

(7.29up)

●わが愛する
 夭折画家たち
  村山槐多1896〜1919

  関根正二
1899〜1919

  松本竣介
1912〜1948

  靉光 
1907〜1946

  野田英夫
1908〜1939

  広幡憲
1911〜1948


 著者がこれらの夭折作家たちを「愛する」ことに敬意を感じる。が、いざ自分がこれらの作家を愛するかというより愛するなんて言っていいか、というと少々覚悟が必要な気がする。気楽なくつろぎの中で云々しては失礼かも知れない人生があるということは、やっぱり峻厳。でもその理由は「夭折」だったからではない。
 沈んでいたい気分の時にピッタリしすぎるかもしれない本。もちろん、沈んでいなくても…。
・窪島誠一郎著
・講談社(現代新書)
・1992年5月発行
・680円(税込み)
(6.25up)

レオナルド・ダ・ヴィンチ
  鏡面文字の謎
  ルネサンスの天才レオナルド・ダ・ヴィンチは左利きだといわれる。5000枚余りの手稿の大半は左右逆向きの鏡面文字で記録されるが、しかしそれは左利きの故だったろうかー。
 彼の素描は木版では再現できない。しかし当時の銅版ではコストが高い。レオナルドは著作を著すには、自分で製版法をも考えなければならなかった…。そこで文字ばかりか、図解そのものも左右逆転して描くことで、自分の原稿が将来出版されるための準備をしたという可能性を、著者は述べている。さらに、彼が左利きでなかった可能性も。
 それらの謎に迫るだけでなく、レオナルドとデューラーが出会って言葉を交わした可能性など、興味は尽きない。 
・高津道昭著
・新潮選書(新潮社)
・1990年8月発行
・1000円(税別)

(6.25up)


*発行日は初版発行時を表わします。
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