京は、数年前に終わった二十世紀という時代、フェアな関係にはなかった。そうンフェアな場所に、潜り込もうとする傾向(病癖?)が私にはあり、このような病人には、新潟はこの二十年、妙に居心地のいい町でもあった。(あとがきより)
   「日本美術・負の現在」

          日夏露彦




    
 ○著 者:日夏露彦ひなつ・つゆひこ美術評論家)
 ○発 行:アートヴィレッジ
 ○サイズ:188mm×127mm ハードカバー(704頁)
 ○定価:3675円 (税込) 送料(代金引換配達)500円
 
 ●装丁・本文レイアウト 芦澤泰偉(芦澤泰偉事務所)

  「日本美術負の現在」はヤマトのコレクト便(代金着払い)限定でお送りします。

数量  

アートヴィレッジ書籍一覧からのご注文はこちら
 

 現在の日本の美術界を見渡して、活況を呈しているとか、実り豊かだ、とかいう発言があるとしたら、よほどの門外漢か、多少潤っているか、もしくは立場上本音のいえないわずかな関係者たちの浅見・自讃・詭弁としかいいえないだろう。 

 少しでも距離をおき、冷静に見れば、とてつもなく荒涼たる光景が広がっているからだ。

  (前篇・1部より)




■前篇では、日本の美術状況の低迷を、著者独自の論理である"上からの近代化"による"三層差別化構造"に因るものとし、一挙書き下ろし260枚で論じる。後篇は、著者の1970年代以降の諸評論を作家論を中心に所収


■前篇で論じられる著者独自の理論をもとに編纂した、日本の文化を低迷させた事件を所収した年表を掲載。また、前篇・後篇に登場する膨大な美術家などの人名索引も所収。




目次

■ 前編


第1部 日本美術の現在--荒涼たる光景 


1‐1荒涼たる光景  
1‐2なぜデパート展か
1‐3村上隆と殖産興業思想
1‐4美術界各層に広がる荒涼
1‐5画壇を蝕む制度と主体の諸要因
1‐6フリーのスタンスの困難

第2部 歴史的回顧--`上からの近代化aの誤算 

2‐1明治政府による近代化政策と対批判・警鐘活動
2‐2翻訳造語・美術、美術家と明治政府
2‐3幕末--明治初期美術の胆力:高橋由一、河鍋暁斎、月岡芳年
2‐4トリックとしてのイコン・御真影
2‐5フランス人による風刺画   
2‐6殖産興業思想と大日本帝国憲法  
2‐7フェノロサ、岡倉天心の功罪--伝統の再認識と`日本画aの捻出  
2‐8油絵・洋画の奮闘--鴎外の慧眼、黒田清輝の功罪  
2‐9国家直営文部省美術展覧会の陥穽と青木繁の悲劇  
2‐10絵画の分裂基準の成立と`日本画aの悲しき宿命  
2‐11官・在野対立とデパート、マスメディアの営業戦略  
2‐12大正期:焦燥の個性--岸田劉生  
2‐13早熟の異変と在野の苦闘  
2‐14懐柔と恫喝の行き着くところ--戦争美術という破綻  

第3部 奇跡の戦後五年--何でも言えた瞬間と官僚悪 

3‐1節操と戦争責任問題、民主化とリアリズム論争  
3‐2`日本画滅亡論a  
3‐3五年間の作品 敗戦はいかに生かされたか  
3‐4民主化を阻む諸力・文部省、マスメディア、デパート 三層差別化構造の固定化と補強
3‐5アヴァンギャルド芸術運動復活  
3‐6復刊・創刊美術雑誌の功罪  

第4部 三層差別化構造下五○年以降 

4‐1五〇年代││反動法反対アピール、美術批評百家争鳴、ルポルタージュ絵画、アンフォルメル  
4‐2六〇年代││官制展の不条理への国会追及、アンデパンダン展とマスメディア主催の矛盾露呈、ダダの追体験、反芸術論争  
4‐3七〇年代││国家・企業の懐柔と市場直結型美術、カウンターカルチャーとしての概念芸術  
4‐4八〇年代以降││三層差別化構造の惰性とバブル・パニック  
三層差別化構造年表(著者編)  

第5部 再生へのプログラム--諸矛盾の析出と挑戦 

註  
参考文献  


■後篇

一九七○年代以降諸評論集 


Willi Sitte DDRの一画家の問題  
二〇世紀美術の諸問題--近代主義あるいは形式主義批判のパラドックス  
斎藤義重の芸術  
二〇世紀美術論の諸問題その二--林文雄氏のドグマチックな反論に答えて  
八〇年代日本美術の最前線--前衛の座標の再構築  
八〇年代美術の最前線--J・シュナーベル・破局の時代のリアリティ  
『WACOA』連載bINSCAPEc(全六回)
     (インスタレーションのあつかい、ボイスの死、シーレの新鮮さ、闇と光りのエロス、実存の不     気味--中川政昭の映像、破局の時代の仕掛け)
[今日の作家展]現代美術の黙示録ソ--魂の深層から
     (松澤宥、菅木志雄、米谷栄一)
松谷彊美術批評の教訓  
[今日の作家展]現代美術の黙示録タ  
     (矢嶋美枝子、辻けい、菅野由美子)
高木由利子の写真--戯れを通して生のニュアンスへ  
『ASAHI EVENING NEWS』日曜版bTHE CREATORSc(全四十回)
最上寿之 藤田喬平 栗原喜依子 舟越桂 黒崎彰 清水九兵衛 篠田守男 剣持和夫 鯉江良二 荒川修作 加山又造 中川幸夫 草間彌生 田村能里子 渡辺豊重 流政之 片岡球子 柄澤齊 籔内佐斗司 4下保昭 靉嘔 加納光於 菊畑茂久馬 中村錦平 小作青史 佐藤忠良 高山辰雄 李禹煥 遠藤彰子 池田満寿夫 斎藤義重 辰野登恵子 横尾忠則 多田美波 内田あぐり 佐藤多持 大森運夫 佐野ぬい 末松正樹 堀文子

『神奈川新聞』bリレーエッセイcbサンデーブレイクc
     「伝統と現代 中島清之の場合」展--自由な変転のなかの骨太な歩み
b生成cをキーに世界へ--天皇制をなぜ問題にするか
竹邑類の絵画世界  
(アパルトヘイト・否、ソビエト崩壊と抽象美術、現代美術にエキサイト、美を見る眼、ハンディの身で芸術、映画に出合う、食文化のありがた味、クリハマ・マインド、人の型にはいるなかれ……、舞踏で生きる、現代美術の力、横浜の文化史跡、歴史意識の欠落、中国画学生おそるべし、禍福変転に生き抜いて……、b美しい横浜cゆえに、狸はいつまで……)

開港地横浜は美術史ドラマの舞台(一)〜(七)  
b世紀末アイロニーアートc--柴田和  
ザ・版画cの盛り上がりをどう見るか--神奈川芸術フェスティバル  
女流画家協会五十年の意義  
今野央輔 弁証法の絵画--日本近、現代美術の宿痾を笑う  
野太い美学へ--長谷川晶の半世紀  
漂流するエロス--石橋別人  
孤愁の画家鎌田方晴--死神と向かいあい  
『てんぴょう』創刊号〜14号掲載評論
バイターズ 河野扶 東京芸術大学美術館所蔵名品展 田島弘庸 鏑木昌弥 剣持和夫・西山真実 資料でたどる戦争期の美術展 四谷シモン オノデラユキ 桂川寛 小西朝子 鷹野隆大 マリオ・A 追悼・斎藤義重 今井俊満 お茶らけポップアート(間島領一) 横浜トリエンナーレ 佐伯俊男 松澤宥 戦争記録画 右近多恵子 門田秀雄 上條陽子 デュッセルドルフアカデミーの三世代 フェリシアン・ロップス 二一世紀初頭日本の美術状況 テロ・ショックアート(山岸直子・平川正・ワシオトシヒコ) 吉田ふじを 平野充 

対位法美学の展開--山内慶子の最新作  
水から宇宙へ--稲垣三郎水墨画小論  
前時代的呼称b日本画c改称論  
双頭のアーティスト--西良三郎の造形世界  
地霊の黙示録--沼沢仁遺作展  
ノーウォー展--たかが反戦? されど反戦--アート自立の危機  

あとがき  
i人名索引  

 
日夏露彦(ひなつ つゆひこ) 本名中島洋光
1939年横浜生まれ。早稲田大学教育学部卒。
東京造形大学などで美術論・美術史講義担当を経て
現在桑沢デザイン研究所、成蹊大学で現代美術ゼミ・現代文化論
ほか美術関係誌・紙に評論執筆
本名で下村観山鑑定。
著書に『中島清之画集』(NHK出版)
美術評論家連盟会員


『てんぴょう』TOPへ
アートヴィレッジ・本TOPへ 

東京都中央区京橋1-6-7・2F  アートヴィレッジ
TEL:03-6228-6581 FAX:03-6228-6582
Copyright (c) 2012 art village  All rights reserved.